ノイズの無駄の彼方

ムラタ@geonoize

ジャンプSQ12月号古味直志「ペルソナント」

先日打ち切りになってしまったダブルアーツの作者・古味直志先生による読み切り「ペルソナント」がジャンプスクエア12月号に掲載されてたー。絵がシャープになってこれから期待。さらに今月の付録がこれまでの読み切り作品のポストカードですので最近買ってないなーという人にオススメ。自分はTISTA以降久しぶり。

古味直志/ペルソナント
■一言で〜
さまざまな差別への打開策として、すべての人がペルソナントと呼ばれる仮面+スーツを常に装着することを義務化することで見かけの違いを無くした世界でのお話。仮面をつけずに政府に追われるダモレの取材を言い渡された雑誌記者が、偶然そのダモレに拉致られて取材をしていると、実は・・・とストーリーが展開していきます。

■感想-面白かった。
設定がぶっ飛んでる分、その設定をいろいろとセリフで説明してくれてるんですが、そのフォローの仕方が「お前ほんとにその世界に住んでるのかよ」的なアホっぽさにあざとさを感じてしまい、うーんそんな説明どうでもいいよと思ってしまいました。
といいつつも説明用以外の、その世界の特異性をシミュレートした結果の登場人物のセリフ回しは結構好きです。吐き出すセリフが面白くて、いろいろと今の「常識」って何?とか考える点はあります。特に雑誌記者オリィ・フランベルの動揺シーンはかわいい。
そうなってくると、始まってすぐ機械的に彼女の名前は出てくるんですが、その後は一切呼ばれないのがちょっと惜しいかもww!やっぱ名前呼ばれたりするとかわいさ増すよね。愛着わくよね。
あと50年とたたずにペルソナント装着が常識になるのかどうかという点について。特にじいさんとかばあさんとかは装着せずに生活してそうな気もするけど、読みきりだし別にいいやな。あくまでそういう世界ということで読みました。
そしてちょっとどうかなと思ったのは、ペルソナントシステムが実は人を操ることができ、本当に悪用されるということでしか雑誌記者を納得させていないように見えた点。突き詰めたら管理社会に対してはリスクだけの話になってしまって、少年マンガのストレートさがダモレの自由闊達さにしか無くて少しだけ残念な気もする。が、そのあたりはラストでのこれはこれでありかな的な穏やかな笑いで、一応能天気に回収しています。
管理社会の暗部にさらされて初めて危機意識を持つという展開では、暗部にさらされないうちは管理社会がダメな理由に気付くことはないわけで、その根本へのアプローチがダモレの語りのみですから、わざわざこのようなテーマを持ち出してきた意味が半減すると思います。この記者がだんだんと暗部に触れていく中でいろいろ考えていくという方が筋が通ると思うので、読み切りよりは連載で読みたい作品ですね。

ということでぐちぐち言ってますがとても面白かったです。絵もすごく綺麗になっていて、デジカメとか都市景観だとかSF的に雰囲気いいし、相変わらずアクション要素もあったりして今後への期待が膨らむ読み切りでした〜。

ちなみにこの読み切り目当てで買いましたが、血界戦線/内藤泰弘のポストカードも付いて来たので本当に買ってよかったww

それにしてもダブルアーツの手つなぎ格闘がボツられたのがやはり惜しい。あのうれしはずかしドキドキ設定は神。